建設現場や工場で重量物を安全に持ち上げるために欠かせないクレーン。
しかし、「クレーンを操作するにはどんな免許が必要なのか?」と疑問に思う人も多いでしょう。
クレーンには、つり上げ荷重や操作方法に応じた運転士免許(国家資格)、技能講習(民間資格)、特別教育(簡易資格)の3種類があり、それぞれ役割が異なります。
ここでは、クレーンの免許や資格の種類、取得方法、仕事での活かし方などを詳しく解説します。
どの資格が自分に必要かを理解し、キャリアアップにつなげていきましょう。
クレーンの免許・資格の種類
クレーンは建設現場、工場、倉庫、港湾施設などで重量物を吊り上げる機械です。
安全に操作するため、法的に定められた免許や資格が必要になります。
クレーンに関する資格は、大きく「運転士免許(国家資格)」「技能講習(民間資格)」「特別教育(簡易資格)」の3種類に分かれます。
どの資格が必要かは、クレーンの種類や操作方法によって異なります。
クレーン資格の種類と特徴
以下の表に、それぞれの資格の違いをまとめました。
資格の種類 | 対象となるクレーン | 必要な試験・講習 | 難易度 | 取得期間 |
---|---|---|---|---|
運転士免許(国家資格) | つり上げ荷重5t以上 | 国家試験(学科+実技) | 高い | 約1~3か月 |
技能講習(民間資格) | つり上げ荷重1t~5t未満 | 技能講習(学科+実技) | 中程度 | 約2~4日 |
特別教育(簡易資格) | つり上げ荷重1t未満 | 短期講習(学科+実技) | 易しい | 1日~2日 |
どの資格を取得すべきか?
資格によって必要な学習量や費用が異なるため、目的に応じた選択が重要です。
- 建設現場や工場で5t以上のクレーンを操作するなら「運転士免許」
- 小型クレーンや倉庫の天井クレーンなら「技能講習」
- 1t未満の簡易クレーンなら「特別教育」
運転士免許(国家資格)|つり上げ荷重5t以上
運転士免許は国家資格であり、つり上げ荷重5t以上のクレーンを操作するために必須です。
工事現場や大規模な倉庫・港湾施設で使用されるクレーンの多くはこの資格が必要となります。
運転士免許には4種類あり、それぞれ運転できるクレーンの種類や用途が異なります。
免許名 | 運転できるクレーン | 主な使用場所 |
---|---|---|
クレーン・デリック運転士免許(限定なし) | 橋型クレーン・タワークレーン | 建設現場、港湾、工場 |
クレーン運転士免許(床上操作式限定) | 床上操作式クレーン | 工場、倉庫 |
移動式クレーン運転士免許 | クレーン車(ラフタークレーンなど) | 建設現場、物流業 |
揚貨装置運転士免許 | 貨物船の荷揚げ用クレーン | 港湾施設、船舶 |
運転士免許(国家資格)の取得費用
免許名 | 受講機関 | 学科試験費用 | 実技試験費用 | 受講費用(平均) | 合計費用(目安) |
---|---|---|---|---|---|
クレーン・デリック運転士免許(限定なし) | 安全衛生技術センター | 6,800円 | 15,900円 | 約15万~25万円 | 約16万~27万円 |
クレーン運転士免許(床上操作式限定) | 安全衛生技術センター | 6,800円 | 15,900円 | 約10万~20万円 | 約11万~22万円 |
移動式クレーン運転士免許 | 安全衛生技術センター | 6,800円 | 18,900円 | 約20万~30万円 | 約21万~32万円 |
揚貨装置運転士免許 | 安全衛生技術センター | 6,800円 | 18,900円 | 約18万~28万円 | 約19万~30万円 |
※ 上記の受講費用には、教習所や受験機関の違いにより差があります。
クレーン・デリック運転士免許(限定なし)
クレーン・デリック運転士免許(限定なし)は、つり上げ荷重5t以上の橋型クレーンやタワークレーンを運転するための国家資格です。
クレーン業務の中でも最も汎用性が高い免許であり、建設現場や港湾、工場など幅広い現場で求められる資格です。
運転できるクレーン
- 橋型クレーン(天井クレーン):工場や倉庫で荷物の移動に使用
- タワークレーン(建設クレーン):高層ビル建設で使用
取得方法と試験内容
この免許を取得するには、学科試験と実技試験に合格する必要があります。
試験科目 | 内容 | 試験時間 | 合格基準 |
---|---|---|---|
学科試験 | クレーンの構造、安全管理、関係法令 | 約2時間 | 60%以上 |
実技試験 | クレーンの操作、合図の確認、荷物の吊り上げ | 約30分 | 操作ミスなし |
試験の難易度
- 学科試験は暗記中心のため、過去問対策が有効
- 実技試験は練習場での事前練習が必須(試験場での即合格は難しい)
クレーン運転士免許(床上操作式限定)
クレーン運転士免許(床上操作式限定)は、床上操作式クレーンの運転に必要な国家資格です。
工場や倉庫内での重量物の搬送に広く使われており、製造業や物流業界での需要が高い免許です。
運転できるクレーン
- 床上操作式クレーン:リモコンや吊り下げ式のスイッチで床から操作するクレーン
取得方法と試験内容
試験科目 | 内容 | 試験時間 | 合格基準 |
学科試験 | クレーンの構造、安全操作、法令 | 約2時間 | 60%以上 |
実技試験 | 床上操作式クレーンの操作、荷物の吊り上げ | 約30分 | 操作ミスなし |
試験の特徴
- 床上操作に特化しているため、実技のハードルは比較的低め
- 工場や倉庫での仕事を目指す人におすすめ
移動式クレーン運転士免許
移動式クレーン運転士免許は、トラッククレーンやラフタークレーンなど、移動しながら作業を行うクレーンの運転に必要な国家資格です。
建設現場での資材の運搬や橋の架設など、大型プロジェクトで不可欠な免許であり、クレーン業界の中でも特に需要が高い資格です。
運転できるクレーン
- トラッククレーン:トラックに搭載されたクレーン(建設資材の運搬などに使用)
- ラフタークレーン:オフロード対応のクレーン(建設現場や災害復旧作業で活躍)
取得方法と試験内容
試験科目 | 内容 | 試験時間 | 合格基準 |
学科試験 | クレーンの構造、安全操作、関係法令 | 約2時間 | 60%以上 |
実技試験 | 移動式クレーンの操作、走行時の安全確認 | 約30分 | 操作ミスなし |
試験の特徴
- 走行しながらの操作が求められるため、実技の難易度が高い
- 道路交通法にも精通する必要があるため、学科試験の勉強が重要
揚貨装置運転士免許
揚貨装置運転士免許は、港湾施設や貨物船で使用されるクレーン(ガントリークレーン)を操作するための国家資格です。
主に船舶やコンテナターミナルでの荷役作業に使用されるため、港湾関係の仕事を目指す人に必須の免許です。
運転できるクレーン
- ガントリークレーン:コンテナ積み下ろし用のクレーン
- ホイストクレーン:船舶で使用されるクレーン
取得方法と試験内容
試験科目 | 内容 | 試験時間 | 合格基準 |
学科試験 | 揚貨装置の構造、安全操作、関係法令 | 約2時間 | 60%以上 |
実技試験 | 荷物の積み下ろし、安全確認 | 約30分 | 操作ミスなし |
試験の特徴
- 実技試験は特殊な環境で行われるため、事前の訓練が必須
- 物流業界、特に港湾関係の仕事に就きたい人におすすめ
技能講習の対象クレーン
技能講習は、つり上げ荷重1t以上5t未満のクレーンを運転するために必要な民間資格です。
国家資格(運転士免許)と異なり、試験ではなく講習を受講すれば取得できるため、比較的短期間で取得可能です。
技能講習の対象クレーンは3種類あり、それぞれのクレーンの特徴や使用される現場が異なります。
技能講習(民間資格)の取得費用
資格名 | 受講機関 | 学科受講費用 | 実技受講費用 | 合計費用(目安) |
---|---|---|---|---|
小型移動式クレーン運転技能講習 | 登録教習機関 | 約20,000円 | 約30,000円 | 約50,000円~70,000円 |
床上操作式クレーン運転技能講習 | 登録教習機関 | 約15,000円 | 約25,000円 | 約40,000円~60,000円 |
玉掛け技能講習(1t以上) | 登録教習機関 | 約10,000円 | 約20,000円 | 約30,000円~50,000円 |
小型移動式クレーン運転技能講習
小型移動式クレーン運転技能講習は、つり上げ荷重1t以上5t未満の移動式クレーンを運転するために必要な資格です。
このクレーンは、建設現場や工場、物流倉庫など幅広い場面で使用されており、作業の効率化に欠かせません。
運転できるクレーン
- ユニック車(車載型クレーン):トラックに搭載されたクレーンで、建築資材や機械を運搬する際に使用される。
- カニクレーン(コンパクトクレーン):小型で狭いスペースでも作業が可能なクレーン。
取得方法と講習内容
講習内容 | 受講時間 | 修了試験 |
---|---|---|
学科講習(クレーンの構造・法令) | 10時間 | あり |
実技講習(運転・操作) | 7時間 | あり |
受講のポイント
- 1t未満のクレーンは特別教育で運転できるが、1t以上は技能講習が必要。
- ユニック車を使った運搬業務に関わる場合は必須資格。
- 国家資格(移動式クレーン運転士)と違い、短期間(3~4日)で取得可能。
床上操作式クレーン運転技能講習
床上操作式クレーン運転技能講習は、床上で操作するつり上げ荷重5t未満のクレーンを運転するために必要な資格です。
工場や倉庫などの屋内作業で頻繁に使われるため、製造業や物流業界でのニーズが高い資格です。
運転できるクレーン
- 天井クレーン:工場や倉庫で天井に設置され、荷物を水平移動させるクレーン。
- 橋形クレーン:レール上を移動しながら重量物を運搬するクレーン。
取得方法と講習内容
講習内容 | 受講時間 | 修了試験 |
学科講習(安全操作・法令) | 8時間 | あり |
実技講習(クレーンの操作方法) | 7時間 | あり |
受講のポイント
- 床上で操作するクレーン限定の資格のため、乗り込んで運転するクレーンには使えない。
- リモコン操作の天井クレーンが一般的で、工場内の荷役作業に最適。
- フォークリフト免許と併せて取得すると、倉庫・工場での作業の幅が広がる。
玉掛け技能講習(1t以上)
玉掛け技能講習は、クレーンで荷物を吊り上げる作業(玉掛け作業)を行うための資格です。レーンの操作ではなく、クレーンに荷をかけたり外したりする作業に関わる人に必須です。
運転できる作業(クレーン操作ではなく、補助作業)
- クレーンで荷物を吊り上げる際の「掛け外し」
- フックやワイヤーを適切に使用し、安全な積載作業を行う
取得方法と講習内容
講習内容 | 受講時間 | 修了試験 |
学科講習(荷物の掛け方・安全管理) | 9時間 | あり |
実技講習(玉掛け作業の実習) | 6時間 | あり |
受講のポイント
- クレーンを直接操作しなくても、現場での作業を行うなら必須。
- クレーン運転士免許を持っていても、玉掛け作業にはこの資格が必要。
- フォークリフト作業とセットで取得すると物流・倉庫業界での即戦力になれる。
特別教育で取得できるクレーン資格
特別教育は、つり上げ荷重1t未満のクレーンを操作するために必要な資格です。
国家資格(運転士免許)や技能講習とは異なり、短期間の教育を受けるだけで取得可能で、試験が不要なため、手軽に取得できるのが特徴です。
特別教育のポイントは以下になります。
- 受講すれば誰でも取得可能(受験資格なし)
- 最短1日で完了(学科+実技)
- つり上げ荷重1t未満のクレーン限定
特別教育が必要な理由は、クレーンの操作が重量物を扱う危険な作業であり、最低限の安全知識と技術を身につけるためです。
ここでは、特別教育で取得できる代表的なクレーン資格を詳しく解説します。
特別教育(簡易資格)の取得費用
資格名 | 受講機関 | 受講費用(学科+実技) |
---|---|---|
小型移動式クレーン特別教育 | 登録教習機関 | 約10,000円~30,000円 |
デリック特別教育 | 登録教習機関 | 約10,000円~30,000円 |
床上操作式クレーン特別教育 | 登録教習機関 | 約10,000円~30,000円 |
玉掛け特別教育(0.5t~1t未満) | 登録教習機関 | 約10,000円~30,000円 |
小型移動式クレーン特別教育
小型移動式クレーン特別教育は、つり上げ荷重1t未満の小型クレーンを操作するための資格です。
建築資材の運搬や、狭い現場での作業に使用されることが多く、特に倉庫業・軽作業・小規模工事などでの需要が高い資格です。
運転できるクレーン
- 1t未満のユニック車(車載型クレーン):軽トラックや小型トラックに搭載されるクレーン。
- 小型カニクレーン:狭小スペースや室内作業に適したコンパクトクレーン。
取得方法と講習内容
講習内容 | 受講時間 | 修了試験 |
---|---|---|
学科講習(基本構造・安全操作・法令) | 4時間 | なし |
実技講習(クレーン操作の基本) | 3時間 | なし |
受講のポイント
- つり上げ荷重1t以上のクレーンを操作するには技能講習が必要(特別教育では不可)。
- 技能講習より簡単に取得でき、現場での補助業務として活用可能。
- トラックに搭載された小型クレーンを扱う機会がある人に最適。
デリック特別教育
デリック特別教育は、デリック(鉄塔型クレーン)を操作するための資格です。
デリックは高所での荷揚げ作業に特化したクレーンで、主に港湾施設・建築現場・造船所などで使用されます。
運転できるクレーン
- デリッククレーン(高層建築や船舶建造に使用されるクレーン)。
取得方法と講習内容
講習内容 | 受講時間 | 修了試験 |
学科講習(デリックの構造・操作方法・安全対策) | 4時間 | なし |
実技講習(基本的な操作練習) | 3時間 | なし |
受講のポイント
- デリックは建設業・港湾業で使用される特殊なクレーン。
- つり上げ荷重1t未満に限定されるため、大型のデリックを扱うには運転士免許が必要。
- 高所作業が多いため、フルハーネス(墜落制止用器具)の特別教育と併せて受講すると良い。
床上操作式クレーン特別教育
床上操作式クレーン特別教育は、つり上げ荷重1t未満の天井クレーンや橋形クレーンを操作するための資格です。
倉庫や工場内で使用されることが多く、物流・製造業での荷物の移動作業に適した資格です。
運転できるクレーン
- 天井クレーン(ホイストクレーン):工場の天井に設置されたクレーン。
- 橋形クレーン:倉庫などで荷物を水平方向に移動させるクレーン。
取得方法と講習内容
講習内容 | 受講時間 | 修了試験 |
学科講習(クレーンの基本操作・安全対策) | 4時間 | なし |
実技講習(基本的なリモコン操作) | 3時間 | なし |
受講のポイント
- 倉庫や工場での荷物の移動作業に必須。
- 1t未満のクレーンしか操作できないため、5t未満のクレーンを扱うには技能講習が必要。
- フォークリフト免許とセットで取得すると、作業の幅が広がる。
玉掛け特別教育(0.5t~1t未満)
玉掛け特別教育は、クレーンの玉掛け作業(荷物の吊り上げ時のワイヤー掛け)を行うための資格です。
1t以上の玉掛け作業には技能講習が必要ですが、0.5t~1t未満の軽量物であれば特別教育で作業可能です。
作業できる範囲
- 小型クレーンでの軽量物の玉掛け作業。
- 倉庫や小規模工事現場での補助作業。
取得方法と講習内容
講習内容 | 受講時間 | 修了試験 |
学科講習(玉掛け作業の基礎・安全管理) | 4時間 | なし |
実技講習(ワイヤー掛け・荷重確認) | 3時間 | なし |
受講のポイント
- つり上げ荷重1t以上の玉掛け作業には技能講習が必要。
- クレーン運転資格がなくても受講可能。
- 工場・倉庫・小規模建設現場での補助作業に役立つ。
まとめ
クレーンを安全に操作するには、目的やつり上げ荷重に応じた免許や資格が必要です。
5t以上のクレーンを扱うには運転士免許(国家資格)、1t以上5t未満なら技能講習、1t未満なら特別教育を受ければ操作できます。
どの資格が必要かを見極めることで、効率よく免許を取得し、仕事の幅を広げることができます。
建設現場や工場、物流の現場では、クレーンの資格を持つことでより専門的な業務に携われるだけでなく、転職や昇給のチャンスも増えるでしょう。
自分のキャリアに合った資格を取得し、スキルアップを目指してみてください。
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