車を購入する際、「一括払い」「ローン」「カーリース」などさまざまな方法があります。
その中でも近年人気なのが「残価設定型クレジット(残クレ)」です。
「残クレ」は、契約満了時の車の価値(残価)をあらかじめ設定し、その残価を除いた金額を分割で支払う仕組みです。
通常のローンより月々の支払い額を抑えながら新車に乗れるのが特徴です。
ここでは、トヨタ・ホンダ・日産・マツダ・スバル・三菱の6メーカーの残クレを比較し、それぞれの特徴を解説します。
残クレを検討している方は、ぜひ参考にしてください。
残クレ(残価設定型クレジット)とは?
残価設定型クレジット(以下、残クレ)は、車を購入する際に「将来の価値(残価)」をあらかじめ設定し、車両価格からその残価を差し引いた金額だけを分割で支払うローンのことです。
通常のカーローンと異なり、月々の支払額が抑えられるのが大きな特徴です。
例えば、車両本体価格が300万円の車を3年契約(36回払い)で購入するとします。
この車の3年後の予想価値(残価)が100万円と設定された場合、ローンの対象となるのは「300万円-100万円=200万円」
つまり、支払いは200万円を分割払いする形になります。
この仕組みによって、通常のカーローンより月々の負担が軽減されます。
残クレのメリット
残クレにはメリットがあるのか、以下で解説いたします。
月々の支払いが安くなる
通常のカーローンでは「車両本体価格+金利」の全額を支払う必要がありますが、残クレの場合、支払いの対象は「車両本体価格-残価」です。
そのため、月々の返済額が通常のローンより低くなります。
特に、頭金なし・ボーナス払いなしのプランでも負担を軽減できるため、新車を手軽に購入しやすくなります。
例えば、以下のような比較ができます。
残クレ(3年契約・残価100万円) | 通常のカーローン(3年払い) | |
---|---|---|
車両価格 | 300万円 | 300万円 |
残価 | 100万円 | なし |
ローン支払総額 | 200万円 | 300万円 |
月々の支払い(年2.9%の金利) | 約57,000円 | 約85,000円 |
上記のように、残クレを活用することで、毎月の負担を軽くすることができます。
定期的に新車に乗り換えられる
残クレは契約満了時に「新車に乗り換える」選択ができるのが特徴です。
3年や5年といった契約期間が終了すると、以下の3つの選択肢が与えられます。
- 新車に乗り換える → 車を返却し、新しい車で新たに残クレ契約を結ぶ
- 車を返却する → 契約終了後、車をディーラーに返却する
- 残価を支払って乗り続ける → 一括または分割で残価を支払い、所有権を得る
この仕組みによって、「常に新しい車に乗りたい」「モデルチェンジのタイミングで買い替えたい」と考える人には最適なローン形態となっています。
残価が保証される
残クレでは「契約時に決めた残価(最終支払い額)」が保証されます。
そのため、万が一市場価値が下がったとしても、返却時の査定額が著しく低くなることはありません。
特に、高リセールの車種(人気のSUVやハイブリッドカー)を選べば、契約満了後に高額査定となる可能性もあります。
残クレのデメリット
残クレには魅力的なメリットがある一方で、デメリットも存在します。
金利負担が大きくなる
残クレは「残価を除いた金額」をローンの対象としますが、多くの場合「残価部分」にも金利がかかるため、総支払額が通常のローンより高くなることがあります。
残クレ(3年契約・金利2.9%) | 通常のローン(3年・金利2.9%) | |
---|---|---|
車両価格 | 300万円 | 300万円 |
残価 | 100万円 | なし |
ローン対象額 | 200万円 | 300万円 |
総支払額(概算) | 約214万円 | 約323万円 |
このように、残クレの方が月々の支払いは低いものの、支払総額は通常ローンと比較して高くなる可能性があります。
走行距離の制限がある
残クレでは、契約時に年間の走行距離が決められているのが一般的です。
例えば、
- 5,000km/年
- 10,000km/年
- 15,000km/年
などの上限があり、これを超えると超過料金(1kmあたり数円~数十円)を支払わなければなりません。
特に長距離運転が多い人は、残クレを選ぶ際に注意が必要です。
カスタマイズができない
残クレは「契約終了時に車を返却する可能性がある」ため、
- 車の外装・内装のカスタマイズ
- エアロパーツの装着
- ホイール交換
などを行うと、査定時にマイナス評価を受ける可能性があります。
6つの自動車メーカーの残クレの特徴
トヨタの残クレの特徴
トヨタの残クレの特徴としては以下になります。
月々の支払額を抑えながら、新車に乗ることができるプラン
トヨタの残クレは、車両本体価格の一部を「残価」として据え置くことで、月々の支払いを軽減できるのが特徴です。
新車を手軽に購入しやすく、特に頭金なしのプランでも利用しやすいです。
3年または5年の契約期間を選択可能
契約期間は3年または5年から選択可能で、ライフスタイルに合わせた契約ができます。
短期間で新しい車に乗り換えたい人にも、じっくり乗りたい人にも対応できます。
残価が保証されるため、契約満了時に下取り価格を気にせず返却できる
あらかじめ設定された残価が保証されるため、契約満了時に市場価値が下がっていても気にする必要がありません。
安心して車を利用することができます。
低金利キャンペーンが充実しており、金利負担を抑えられる可能性がある
トヨタでは定期的に低金利キャンペーンを実施しており、通常のオートローンよりも金利を抑えられることがあります。
金利負担を減らしながら、新車に乗れるチャンスがあります。
人気車種(アルファード、プリウスなど)は高めの残価設定が適用されることが多い
アルファードやプリウスなど、リセールバリューの高い車種は残価が高めに設定されることが多いため、月々の支払いがより軽減されます。
ホンダの残クレの特徴
ホンダの残クレの特徴としては以下になります。
全国統一金利なので、どの販売店でも同じ条件で契約可能
ホンダの残クレは全国統一の金利が設定されており、どのディーラーでも公平な条件で契約できるのが特徴です。
地域による金利のばらつきがないため、安心して契約できます。
3年・4年・5年の契約期間から選択可能
契約期間は3年・4年・5年の中から選べるため、ライフスタイルや予算に応じて柔軟にプランを決められます。
頭金なし・ボーナス払い併用OK
頭金なしのプランも選択でき、ボーナス払いとの組み合わせも可能なため、月々の負担を抑えやすいです。
月々の支払額を3,000円から設定できる
支払額を細かく調整できるため、予算に合わせた無理のない返済計画を立てることができます。
契約満了時には「新車に乗り換え」「返却」「残価を支払って乗り続ける」の3つから選択できる
契約終了時には、自分のライフスタイルに応じた選択が可能。
乗り換えを前提にする人にも、長く乗りたい人にも対応できるプランです。
日産の残クレの特徴
日産の残クレの特徴としては以下になります。
対象車種が幅広く、電気自動車・SUV・スポーツカーなども対応
日産の残クレは、リーフなどの電気自動車やエクストレイル、フェアレディZといった幅広い車種に適用できるのが特徴です。
3年・4年・5年の契約期間から選択可能
契約期間の選択肢が広く、短期間で乗り換えたい人にも、長く乗りたい人にも対応できます。
頭金なしでも契約OK
頭金を用意しなくても契約できるため、初期費用を抑えて新車に乗ることができます。
ボーナス払いとの併用が可能
ボーナス時に支払いを増額することで、月々の負担をさらに軽減できます。
返却時の査定基準が細かいため、キズや汚れに注意が必要
契約満了時の査定基準が比較的厳しく、返却時に追加費用が発生しないよう、車の状態を維持することが重要です。
マツダの残クレの特徴
マツダの残クレの特徴としては以下になります。
3年・4年・5年の契約期間から選択可能
契約期間を3年・4年・5年から選べるため、乗り換えのタイミングを柔軟に調整できます。
新車購入後のライフプランを重視した設計
残クレを利用することで、ライフスタイルの変化に応じて車を買い替えやすくなっています。
頭金なし・ボーナス払いあり
初期費用を抑えた契約も可能で、ボーナス払いとの併用でさらに月々の支払いを軽減できます。
契約満了時に新車への乗り換えがスムーズ
次のマツダ車に乗り換える場合の手続きがスムーズで、簡単に新車に移行できます。
返却時に傷や汚れがあると追加費用が発生する可能性がある
査定時の基準があるため、契約満了時まで車両の状態を良好に保つ必要があります。
スバルの残クレの特徴
スバルの残クレの特徴としては以下になります。
3年・5年の契約期間から選択可能
スバルの残クレは、契約期間を3年または5年の2つから選ぶことができます。
短期間で新車に乗り換えたい人にも、長く乗りたい人にも対応できるプランです。
バンパー・ドアミラー・ドアパンチ修理を3年間無料補償(限度額あり)
「安心プロテクト3」という補償が付帯されており、バンパーやドアミラーの修理が3年間無料で受けられます(一定の条件あり)。
返却時の査定で減額されにくいメリットがあります。
月々の支払額を抑えながら、新車に乗ることができる
車両本体価格の一部を「残価」として据え置くため、通常のカーローンよりも月々の負担を軽減できます。
スバル車に乗りたいが、予算を抑えたい人に向いています。
走行距離制限あり(1,000km/月または1,500km/月)
走行距離に応じたプランを選択する必要があり、契約した制限を超えると追加費用が発生する可能性があります。
特に長距離ドライブをする人は注意が必要です。
補償が適用される条件を事前に確認する必要あり
修理補償や残価保証には適用条件があり、車両の状態によっては適用外となることもあります。
契約前に詳細を確認することが重要です。
三菱の残クレの特徴
三菱の残クレの特徴としては以下になります。
3年・4年・5年の契約期間から選択可能
三菱の残クレは、契約期間を3年・4年・5年の中から選ぶことができます。
乗り換えのタイミングを柔軟に調整できるのがメリットです。
窓ガラス・ドアミラー修理費用の補償(最大7万円まで)
「えっ!?あっ!?ほんとっ!?助かる補償」という独自のサービスが付帯されており、窓ガラスやドアミラーの修理費用を最大7万円まで補償してもらえます(免責3,000円、補償期間3年間)。
契約満了時の選択肢(乗り換え・返却・買取)が用意されている
契約満了時には、新車に乗り換える、車を返却する、または残価を支払って乗り続けるという3つの選択肢から選ぶことができます。
走行距離制限あり(1,000km/月または1,500km/月)
契約時に走行距離の上限を設定する必要があり、これを超えると追加費用が発生します。
契約時に自分の年間走行距離を考慮して決めることが重要です。
契約満了時の査定基準により追加費用が発生する可能性あり
返却時に車両の状態が基準を満たしていない場合、追加費用が発生する可能性があります。
特にカスタマイズや内外装の損傷に注意が必要です。
残クレが向いている人・向いていない人
残クレが向いている人
✅ 常に新しい車に乗りたい(3~5年ごとに乗り換えたい人)
✅ 月々の支払いを抑えたい(ローンの負担を軽減したい人)
✅ 走行距離が少ない(年間1万km未満の人)
残クレが向いていない人
❌ 1台の車を長く乗り続けたい人
❌ 走行距離が多い人(年間1.5万km以上走る人)
❌ カスタマイズを楽しみたい人
まとめ
残クレは、月々の支払いを抑えながら新車に乗れる便利なプランですが、走行距離の制限や契約満了時の選択肢など、事前に確認しておくべき点もあります。
各メーカーの残クレにはそれぞれ特徴があり、低金利キャンペーンを重視するならトヨタやホンダ、電気自動車を選びたいなら日産、アフターサポートを求めるならスバルや三菱、柔軟なプランを希望するならマツダといった選び方ができます。
契約前には自分のライフスタイルや走行距離、支払い計画をしっかり考え、最適なプランを選びましょう。
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