車をリースで購入しようと考えている方は、真っ先に「オープンエンド」と「クローズエンド」という言葉を理解した方が良いと思います。
リース車を購入する際には、知っておかないといけない「オープンエンド」と「クローズエンド」ですが、本来、この用語は投資用語です。
投資信託等、預けてある資産を換金(解約)できるタイプを「オープンエンド」と言い、逆に換金(解約)できないタイプを「クローズエンド」と言います。
これが車のリースでも定着してきており、BMWやベンツ等ディーラーのホームページにもページがあるほどになってきています。
ここでは、そんな車リースで必須な「オープンエンド」と「クローズエンド」の違いについて、詳しくご紹介いたします。
残価設定について
「オープンエンド」と「クローズエンド」を知る上で、欠かせないのが「残価設定」についてです。
残価設定は、今や車の販売やカーリースと言いうとお馴染みのフレーズでありますが、正しくは「残存価額設定」のことを表します。
車を購入するのに、現金一括で支払える方は良いですが、基本的に高額な支払いになる場合が多いので、ローンを組む方が多いと思います。
そこでローンの組み方に登場したのが「残価設定ローン」になります。
残価設定ローンの仕組みを簡単に説明すると、300万円の車を購入、ローン年数を3年(36回)とした場合、3年後にその車を下取りした時の金額を100万円と仮定します。
したがって、300万-100万を引いて、残った金額「200万円」をローン(5年)で支払っていくといった感じです。
もっとイメージしやすく、ある車の残価設定した場合と通常ローンの金額比較がありましたので、ご紹介いたします。
例) | 残価設定 | 通常ローン |
車両価格(税込) | 2,905,200円 | |
支払回数 | 36回払い(均等、頭金なし) | |
実質年率 | 5.9% | 7.8% |
支払額(初回) | 56,660円 | 98,392円 |
支払額(2回目以降) | 56,400円 | 96,800円 |
支払額(最終) | 1,539,756円 | - |
支払総額 | 1,974,260円 | 3,486,392円 |
支払総額(買取) | 3,514,016円 |
オープンエンド
オープンエンドとは、「リース契約者に残存価格を公開する」という事です。
ただ公開するだけではなく、ディーラーによっては、リース契約者と同意の上で残存価格を自由に設定できる事も可能です。
残存価格を高めに設定すれば、普段の支払い金額(リース料)を安く抑える事が可能になりますが、契約期間満了時の残価を精算する責任は、リース契約者側になります。
契約時に残存価格を高く設定していて、契約満了時にその車の価値が、当初設定していた金額よりも低くなってしまった場合には、その差額を支払う必要がでてきます。
例)車両300万、3年後残価70%とすると、300-210=90万を3年で均等割りするイメージ。
しかし、3年後に210万(残価70%)で売れると思っていたら、150万でしか売れないとなった場合、210-150=60万と差額60万を契約満了時に支払わないといけない事になる。
残存価格を高く設定しすぎると、最終精算時に差額請求されるリスクがあるのが、オープンエンド契約です。
一方で、設定していた残存価格よりも車の価値が上がった場合には、差額を受け取って契約を終了することも可能となります。
オープンエンドでリース契約をした場合、契約満了時の車両の取扱いは以下の3つになります。
- 不足金額を一括で支払って契約終了
- リース期間を延長
- 残価金額を支払って車を買い取る
オープンエンドは、契約満了後に、乗っていた車を買い取れるというのも大きなメリットだと言えます。
3年後や5年後に、リースしたい車がどれだけの価値になるだろうかと予想できるのであれば、オープンエンドでのリース契約をしても良いかもしれませんね。
クローズドエンド
クローズドエンドは、「リース契約者に残存価格を公開しない」という事です。
したがって、契約期間満了時の残存価格を精算する責任は、リース会社になります。
残存価格の設定は、リース会社独自の設定のため、低くなることが予想されます。
なぜなら、契約終了時の車の価値が、設定していた残存価格よりも低かったとしても、差額はリース会社が負担する事になるので、リスク回避のため低くするのですね。
また、クローズエンドでリース契約をした場合、契約満了時の車両の取扱いは以下の3つになります。
- 車両返却で契約終了
- リース期間を延長
ここで一つ、オープンエンドとクローズエンドの違いがあります。
それは基本的に「残存価格を支払って車を買い取る」事が出来ないという事です。(リース会社によっては可能な場合がありますので、要確認です)
クローズエンドでのリース契約は、契約者にとってリスクはありませんが、残存価格が低く設定されているので、月々の支払いが若干高めになります。
リスクを重要視するのであれば、クローズエンドでのリース契約ですね。
オープンエンドとクローズエンドの注意点まとめ
これまで、オープンエンドとクローズエンドのリース契約について、ご説明してきましたが、ディーラーのホームページでリース契約について調べていても、メリットばかり明記されているので、果たしてどちらのリース契約が良いのか分からない方も多いと思います。
そこで、それぞれのリース契約で何か注意点があるのではないかと考え調べてみました。
今後の参考としてご覧ください。
項目 | オープンエンド | クローズエンド |
残価開示 | 公開 | 非公開 |
残価精算責任 | リース契約者 | リース会社 |
残価率 | 高めに自由設定可能 | 低め |
最終買取 | 可能 | 不可 |
再リース | 可能 | 可能 |
返却 | 可能 | 可能 |
残価精算 | あり | なし |
年間走行距離設定 | あり | あり |
原状回復義務 | あり | あり |
リース契約をする場合「オープンエンド」と「クローズエンド」のどちらがベストなのか、リスク等色々と調べた結果ですが、オープンエンドで残価率を低く設定するのが一番かと思います。
リース車は「所有者はリース会社、使用者は契約者」と実際、自分の車ではありませんし、その車を改造(エアロやマフラー取付)することも出来ません。
何年も同じ車に乗っていると愛着がわいてくるものですから、最終的に自分の車(所有者、使用者とも自分)として乗りたくなるともおもわれますので、私はおすすめいたします。
まとめ
オープンエンドとクローズエンドの違いはいかがでしたか。
ディーラーにしろリース専門会社にしろ、購入する相手は車が好きでも、金融については大半が素人です。
現に自分がリース車を購入する事になったとしても、ショップの方が言うように手続きをしてしまうかもしれません。
騙されているわけではありませんが、「オープンエンド」と「クローズエンド」をしっかり理解した上で、納得のいくリース契約をおすすめいたします。
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